メキシコで最も敬愛されている宗教的シンボルであるグアダルーペの聖母について何か聞いたことがある人もいるかも知れない。そのメキシコ人まで忘れてしまっている聖母の起源はグアダルーペと言うスペインのエストレマドゥーラ州に位置している小さな村にある。現在、この田舎にある村の人口は2000人弱だが、歴史的・芸術的価値のある建造物が非常に多い。その村を訪問すると、まるで１５世紀にいるような気がする。１５世紀といえば、スペインの征服者がアメリカ大陸へ渡った時代である。彼らの多くエストレマドゥーラの出身であった。そのため、メキシコ人はおろかグアダルーペの人すら意識していないのに、グアダルーペ村とメキシコの間には深い関係がある。例えばグアダルーペへの旅行から帰ってきたあと、マドリードに住んでいるメキシコ人の友達にお土産として「ムエガド（muégado）」というお菓子をプレゼントした。すると友達に「えっ、どうしてメキシコのお菓子をくれたの？」と聞かれた。このムエガドというお菓子の存在はスペインでもあまり知られていないし、グアダルーペだけで買えると思っていたため私のほうが驚いた。でもメキシコではメキシコ料理としてよく食べられているらしい。

そして小さいのに驚くべきグアダルーペには息を呑むほど立派なサンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院がある。その素晴らしい建物に美術館、刺繍の博物館、そして王様、王妃、王子や王女などの墓もある。グアダルーペに宿泊するなら、修道院の隣にあるグアダルーペのパラドールをお勧めします（パラドールというのは古城などを改装したり、景勝地に新しく建てた半官半民の宿泊施設網である）。

つまり、グアダルーペ村を訪ねたら、綺麗な自然環境の中でスペインの古い歴史に触れることができると思う。